八ヶ岳随一の花畑を有する横岳に登りたい!でも2000メートル級は不安…(装備や注意箇所、皆が知らない穴場を徹底解説)
八ヶ岳の中でも高山植物の宝庫「横岳」に登って見たいけど不安…。そんな方は一度目を通してみてください。当記事では八ヶ岳横岳にのぼる際のチェックポイントをわかりやすく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
1)八ヶ岳横岳(2000m級)に臨む必須装備
2000メートル級では、様々な不測の事態が起こり得ます。緊急連絡手段がなくならいよう携帯の「ポータブル充電機」や疲労などにより予定していたコースタイムをオーバーしてしまい、日没を迎え暗闇になってしまった場合に登山道を歩けるよう「懐中電灯」が活躍します。また、横岳特有の階段の多さや岩登りで思わぬ転倒があるかもしれません。歩行困難な怪我をしても今いる場所を把握していないと迅速な救助すらままならなくなります。時に天候の急変により豊かな自然が牙を剝くことがあるので「地図」と「コンパス」はセットで必須。合わせて「読図力」を身につける方がいいでしょう。
・懐中電灯(ヘッドランプ)
2000メートル級では、天候の急変になどで予定していたがコースタイムを大幅に遅れたり、冬季の積雪量が平年以上に積っていたり、雪解けが遅れていた場合は雪渓(万年雪)を歩かなければならないことがあります。中でも強風を伴った降雨と霧でホワイトアウトになると道標や分岐点を見失ったり、下山が遅れて暗い夜道の「ルートファインディング」の技術が求められたりします。そういった自体を未然に防ぐ道具で大事なのが両手が自由に使える「懐中電灯(ヘッドランプ)」。私も北アルプス立山連峰から剣岳へ登る前夜から突風を伴う暴風と大雨、濃い霧により日の出前の暗闇の中、薄暗く真っ白な木もない中、目印となる道標を「懐中電灯」で確認しながら無事北アルプスの登山基地室堂へ帰還しました。また1000m級の山「丹沢塔ノ岳」で植生調査していた時、調査に手間取り下山が日没に間に合わず、「懐中電灯」を活用して暗闇の中無事下山しました。
・ポータブル充電器
2000メートル級では、気温の急激な変化などにより緊急連絡手段の1つである携帯電池切れが起こることが度々あります。「ポータブル充電器」はとても有効です。非日常の世界のお花畑や山岳風景などを前にすると思わず携帯で撮影したくなるものです。またSNSに投稿するために様々なシーンを写真のほか動画を撮ることでしょう。実際、天候の急変により気温の低下、風による体感温度の低下によって携帯のバッテリーが急激に減少することがあります。私は北アルプス槍ヶ岳や屋久島宮之浦岳などでジャケットのポケットに入れていた携帯やデジカメのバッテリーが使ってもいないのにほぼ0%になっていたことが何度かあります。入山中は標高も低く気温が高いのですが、高度を増すと下がってしまいますので、私がアドバイスするなら人肌に近いズボンのポケットなど温もりのある場所に携帯やポータブル充電器をしまっておくとロスが小さくなります。何より美しい山岳風景や撮りたかった花の写真をストレスなく撮りたい場合は「ポータブル充電機」があると安全登山にもつながり思い出が残せることでしょう。それでも過剰な動画撮影などを撮る方は注意しましょう。
・地図+コンパス+読図力=GPS(アナログ版)
天候急変や体力の消耗などから不慮の事故につながることが少なからずあります。怪我の程度が軽ければ近くの山小屋にSOSを求めることや通りかかった登山者に手を借りることができるかもしれませんが、滑落や道迷いの場合は登山道から外れてしまっているので発見されることは難しくなります。そこで前項で取り上げた携帯電話が活躍するわけですが、せっかく電波が届いていても自分の居場所が的確に伝えられないと救助が遅れてしまう可能性があります。地図とコンパスそれに懐中電灯(ヘッドランプ)は登山する上で「三種の神器」とも言われています。地図とコンパスがあれば自分の位置が割り出せます。しかし、読図力がなければ地図とコンパスは無駄になってしまいますので、登山中の分岐点や山頂、山小屋、地形が大きく変わるところ、鉄塔など人工物を通過するポイントで地図を広げ、コンパスの針を北に合わせ特徴てきな地形を見つけ方位と合わせていく癖をつけることが読図力を向上させる近道です。GPSがあっても万が一のバッテリー切れは無用の長物になっています。山岳フラワーガイド沙羅の木の高橋も登山道が直角に曲がっていた丹沢檜洞丸で真っ直に下山し獣道に入ったものの、読図で元の登山道に戻ることができました。また山頂からの見える山並みや町並みが遠方であっても読図名前地域を把握することができます。なお地磁線と本当の北とのズレについても理解を深めることができます。
2)八ヶ岳特有の注意事項
・山は低体温症になりやすい
2000メートル級の山では、街や里よりも10〜12℃(原則標高100m上るごとに0.55℃低下する)低くなるほか、夏山でも上空に寒気(寒冷渦)がやってくるタイミングですとその温度差は15℃を超えることがあります。また好天時の晩夏や初秋、早春においては放射冷却現象により夜間〜早朝「霜」が降りることがあります(山小屋であれば外気より概ね10〜20℃高いのでご安心ください)。低体温症は低山でも装備が粗末すぎると起こりえる怖いものですが、運動量と上着とのバランスが整っていれば大丈夫です。ただ体が汗や雨、霧で濡れている場合は特に警戒が必要です。さらに体感温度(風速1m/sごとに体感温度が1℃下がる)は風速に大きく影響しますので、外気温15℃で風速10m/sの強風が吹くと体感温度は5℃と真冬並みになります。ここに肌着が汗で濡れたにも関わらず着替えなかったり、雨具が透湿性のないビニール合羽だたりすると気化熱で体温が奪われていまい、凍える寒さとともに歩行障害に繋がります。かつて北海道の2000m級のトムラウシ山では山岳ツアーに参加した多くのお客様が一度に亡くなりました。
・キレットなど特種な地形が多い
キレットは切戸と書き日本語です。山と山をつなぐ尾根で片方の斜面が垂直に深く切れ込んだ地形、または両側の斜面が切れ落ちた地形を指します。このような地形は八ヶ岳の横岳にもあり、ウルップソウやイワギキョウ、イワウメなどが岩に張り付き、まるで盆栽のような可憐な高山植物が観察できます。足場が不安定なので注意を払うほか、ほかの登山者の邪魔にならないようにしましょう。なおキレットの通過にはルートファインディングの技術が必要のほか、三点支持がとても安全性の向上に重要です。また晴れていると高度感があり、高所恐怖症の方は通過に時間を余計に取られることがあります。山岳フラワーガイド沙羅の木ではこのような山岳登山技術についてもご要望があれば一緒に体験しながらわかりやすくて説明いたします。日本三大キレットは北アルプスの不帰ノ劍(白馬岳と唐松岳間)と大キレット(槍ヶ岳と穂高岳間)、八峰キレット(五竜岳と鹿島槍ヶ岳間)で、山岳フラワーガイド沙羅の木の高橋はテント泊で全キレットを縦走しながら通過したほか、八ヶ岳のキレット、西穂高岳と奥穂高岳間の馬の背やジャンダルムを歩きました。
3)そんな難易度が高い「横岳」の穴場
八ヶ岳の横岳は石灰岩の露出する岩蜂ならではの環境があり、同じく特殊な地層の蛇紋岩が路頭する白馬岳周辺(日本で2つの山)だけでしかツクモグサやウルップソウの群生地があります。おそらく登山だけを楽しんでいるハイカーでは足元や危険な場所は速やかに通過するため、美しく咲く高値の花々を見過ごしているかと思います。食虫植物のムシトリスミレも見つけられます。あなたは何種類の可憐な高山植物に出会えるでしょうか。また自分のお気に入りの高山植物を見つけられるでしょうか。
まとめ
八ヶ岳の横岳についての必須事項や注意点、まとめてみましたが、参考になりましたでしょうか?少しでもお役に立てたなら、記事のシェアやSNSへの拡散をお願い致します。この先の物語の続きはまだまだあります。
当ガイドコースの2000m級の山は八ヶ岳の横岳のほか、尾瀬至仏山や北アルプス栂池自然園、八方池コース、南アルプス鳳凰山、屋久島黒味岳が当てはまります。
日本全国の山を1年で300回は登る、山岳フラワーガイドの高橋がこの記事を書いています。プロフィールはこちら。